キット化は、プラモデルの部品のように組立する材料が一式揃った状態にしておくことです。具体的な事例としては、大工道具一式、工具箱が揃った工具一式、プラスやマイナスのドライバーの各種サイズが揃ったドライバーキット、ドリル刃が各径の順番に収納したドリル刃キットなどがあります。ほとんど場合、その商品の姿の型をそのまま凹ましてスポッと入れたり、ちょうど当てはまる穴に入れればよいなど元の位置に戻しやすい工夫が施されています。いずれもケースを見ただけでも中身がわかるもの、また箱やフタを開けた時に全部揃っていることがわかる仕組みなっているものです。
セットの意味は、置く、固定させる、くっつくなどの意味があります。セット化は、出来上がりの一式のことです。具体例として、ナイフ、フォーク、スプーンなどが一式揃ったカトラリーセット、テーブル、ソファー、テーブルクロスなどの揃った応接セット、テレビ、冷蔵庫、洗濯機などの新家庭家電セット、コーヒーや紅茶のセットなどがあります。
このような市販品での事例は探してみるとたくさんありますが、皆さんの職場では一体どれくらいあるでしょうか?普段そういう視点で、事例を探したことはないものです。休憩や交代の時間を利用して、何件あるか、そしてもっと使いやすい方法はないかを点検してみましょう。仲間を誘って、自部門だけでなく他部門にも足を運ぶだけでも事例発見ができます。つまり普段は意識して考え方ことがないだけであり、目的意識をもって観察していけば、自分たちの職場でも多くの事例を発見できます。
キット化やセット化をすることで、数を数えたり確認したりするムダをなくしミスを防ぐことができます。特に数を数えることは、簡単なようで実はミスのおこしやすい作業なのです。キット化やセット化を、現場のピッキング作業や組立作業などに応用してみましょう。
さて皆様に届くダイレクトメール(DM)を、どれくらいの時間で要不要を判断し、次の処理をしていますか?測ったことがないのでわからないといわずに、およその時間をイメージして下さい。その時間は、およそ3秒です。どこから来たのか、どの内容か判断し、不要なら次の作業であるゴミ箱に投げています。パッと見てわかるというのは、このわずか3秒で判断し、次の作業の処置ができる感覚で考えてみましょう。
スーパーマーケットなどの店舗や商品の展示の仕方は、ピッキング作業や組立作業さらには段取り替え作業などにも応用できます。キット化やセット化も、パッと見たら一式揃っており、欠品なし!異常なし!と判断し、すぐ次の作業準備に取り掛かれます。
これらが素早くできると、余裕ができます。余裕ができると作業確認、仕上がり確認の時間を作ることができます。この余裕があるおかげで、ミスをその時点で発見しやすく修正もできるので、ポカミスをなくせます。多くの場合、この確認したり検査をしたりする時間がなく、あとで手抜きをしたことがわかりますが“後の祭り”です。
「段取り八分に仕事二分」をいつも心掛けましょうと、いつも現場で伝えています。つまり事前準備が確実にできていれば、次の付加価値を生む仕事が正しく、しかも不具合なしで簡単にできます。そのためにも、パッと見たらすぐわかる仕組みをもっと取り込みたいものです。