肉食動物のライオン、トラ、ヒョウ、イヌなどは、顔の正面に両眼があります。獲物を探すために、どのくらい離れているか遠近感を感知するために眼がくっつく位置になっています。これは三角測量と同じ原理で、2点から1点に焦点を合わせることで、正確な距離を掴むものです。
さらにヒトの祖先であるサルは、木の上で生活をしていたので時々に地面に降りた時には、その立体感を掴むことが大切な機能なったと考えられます。ちなみに片目をつむり階段を下ってみますと、両目と違い遠近感が掴みにくくなり危ないことが体験できます。ヒトが二足歩行になってからは、両手も自由になり立体的にものを見ることで、道具を作り出すことができたといわれます。
両眼でものを正確に見ようとすると、視野が狭くなっていきます。両眼で見ることのできる範囲は、草食動物は約30度、肉食動物は約90度、ヒトは約120度といわれます。アジア系の人の顔は、やや平面であり丸顔が多くみられます。アジア系は農耕民族であり、動物で言う草食動物に近いと思います。田植えをしたり、畑を耕作したりする姿勢はまるで草食動物です。そして眼の位置ですが、鼻から少し離れたように見えるのはアジア系の人たちです。
欧州の人たちの祖先は、狩りをする時は足元を見るのではなく、遠くを眺める立ったままの姿勢になります。ただアジアに比べて気候が寒いために、顔の表面積が大きいと熱を奪われてしまうこともあり、顔が小さい方が便利になり眼の間隔も狭くなったかも知れません。食べ物の他に言語の違いも顔の形に影響するともいわれますが、いずれにしてもその風土に合わせてきたからこそ、今があるのだと思います。
気づかないところで、自然に対応してきているのでしょう。肉だけや野菜だけという極端な食事を摂取すると、健康に影響してくるものでありやはりバランスが大切です。
肉食動物のように、いつも真っ直ぐ攻撃的な視線で見るのは疲れてしまうものです。また草食動物のように、周囲を状況にキョロキョロするのも疲れるものです。食事だけではなく、ものの見方や配分もバランスが大切になります。
ヒューマンエラーを撲滅する1つの方策として、疲れさせない作業姿勢をすることを優先して取り上げています。疲れの多くは、眼からきていると考えています。眼が疲れるからミスをしやすくなり、注意力も散漫になり災害も発生しやすくなります。
現場観察をして、特に疲れが発生するのは、振り向き作業だと考えます。頭部の中で眼球が宙に浮いた状態なので、焦点を合わせる時に眼球を正しい位置に保つ筋肉を非常に酷使します。何度も繰り返すことで、目が疲れ焦点が合わなくなり、ミスを連発するようになるのです。頭部を何度も振るので、軽いめまいを起こすこともあります。
部品の供給位置を180度の振り向き位置から、横に置き換えることで半分の90度になり、眼球の動きは少なくなり作業は楽になります。さらに少量ずつフロントで供給することで振り向き作業をなくし、疲労しにくい作業に変えることができます。少しの改善ですが、大きな効果となります。