今年のからくりカイゼンを学ぶために中国から約20名の訪問団が組織され、著者にからくりカイゼンのセミナーの依頼がありました。その主催者の方は、この日本カイゼンプロジェクトの読者の方のようでした。からくりカイゼンの記事を読まれて、今回の講師に選んでいただきました。何がご縁になるかわからないものです。
からくりカイゼンの場は、社内だけではなく諸外国からも一堂に集まった熱気あふれるカイゼンの展示会です。各人のもっている才能、能力、情熱を最大限に発揮できる良い機会であり、お互いのノウハウを学ぶ場であり、交流し合う素敵な展示会です。
からくりカイゼンは、以前では日本だけの活動でした。しかし、次第に企業の海外の工場も参加するようになり、テキストも日本語と英語が併記されるようになっています。
でも、相変わらず変わらないことは、写真や映像の収録ができなく、ペンと紙で自ら写し取る作業です。これは、見たり聞いたりではなく、自分で描くところに大切な観察力を育む要素があります。著者も昔々に描いたからくりのデッサンを見れば、すぐに思いだすことができます。
しかも最近は、実際に製作した若い人たちや女性も多くなりました。説明員(実際に製作された人たち)の交流の場になっています。製作の経緯や現場のお困りごとを的確にヒアリングしてカタチにして、さらに修正や工夫を積み重ねして出来上がったものを本人が説明します。ここで、「困りごと」ではなく、「お困りごと」と言うのは、現場の人たちからヒアリングする姿勢を大切にする言い方です。
からくりカイゼンは、何のためにやるのかと言えば、現場のお困りごとを解消するための活動とも言えます。職場で困っていることをヒアリングします。そのお困りごとから、周囲の環境や前工程の出来栄えなどを調査します。全体像を把握するために、お互いの情報交換場が不可欠です。
しかも「自分の職場のことは、自分たちで解決しましょう」と言う現場の自律化を狙っていると考えます。これは、素晴らしい人財育成の良い機会です。しかもなるべくお金を使わないことが制約条件になれば、自分のもっているの能力だけでなく、潜在能力も引き出せます。
また、仲間のアイデアや知恵を寄せ合い練り込むことが求められます。この活動から仲間同士の話し合いが生まれ、より良いものを追求することで、チームだけでなく組織のレベルアップも期待できます。現場のお困りごとが本当に解消するのは、何度も試行錯誤してたどり着くものです。その試行錯誤は、とても大切なプロセスと捉えます。教育そのものの行為だからです。逆に手抜きはダメです。
今年のからくりカイゼン展は、名古屋地区で11月13日と14日の両日行われます。昨年は、86社、351点のからくりカイゼンの実機が会場に持ち込まれました。著者も初日に終日訪問予定です。時間がもったいないので6時間立ちっぱなしで、昼食はおにぎり一個です。
彼らの説明を、1つひとつじっくり聞きます(約5分)。その時の苦労話や説明されたアイデアがもっと良くなるヒントも盛り込んで話をしていくと、彼らの表情は明るくなります。熱心な彼らは、吸収力が違います。まだまだ日本の製造業は期待が持てると感じます。今からワクワクしています。