近年からくりを使ったカイゼンが盛んになってきています。“からくり改善”と言う言い方は、1994年某協会からから始まった登録商標になっています。あえて“からくりカイゼン”と言う言い回しをさせていただきます。
からくりカイゼンに興味をもったのは、勤めていた電気機器製造会社で簡易自働化の推進をしていたからです。ローコストで自働化をする全社で取組み始めたことから、もっと簡単にできる方法はないかと暗中模索していた頃に興味をもちました。
1997年にからくり改善の展示会が名古屋で開催され、初めて一堂にたくさんのからくりカイゼンの機器を目にしました。目からウロコと言う言葉がぴったりした瞬間でした。
まだ頭に残っているのは、車のジャッキを作業台の昇降に用いたものでした。普通は重さ1トンもある車のタイヤ交換に用いますが、耐荷重700㎏以上もあるジャッキで、数十㎏の台と機器をオペレータのベストの高さに調節する機構でした。
ジャッキの機構は、からくりの回転を伝える機構の右ネジと左ネジの組み合わせにもその時に初めて気づきました。この気づきの連鎖反応が起こると、次々にアイデアが発想できます。これがからくりカイゼンの面白さの一つかもしれません。
現在は出展者が予め解説をした説明書を配布していますが、当時はすべて気に入ったものをすべて手描きでスケッチする方法でした。まだそのノートは保管しています。手描きをするプロセスがとても重要だと後で知りました。苦労して手にしたものは自分に残るものです。
その後コンサルタント会社に入社してすぐに関西の大手電機メーカー様からの依頼で、からくりに関した指導を定期的にさせていただきました。6年前から関西のセミナー会社から簡易自働化研究会の講師として、延べ30社以上の企業様からによる事例発表のコーディネーターもさせていただいています。
10年ほど前からは自動車業界や電機機器業界など多くの企業が、人財育成の手段としてからくりカイゼンに取組まれるようになってきました。からくりを使うことで、社内のカイゼンの活性化や自己啓発や自己成長の起爆剤となっているようです。
こうした機会を捉え、自動車業界同士の交流ができないかと投げかけを行った結果、業界で初めてらしい直接の交流が始まりました。その火付け役になったことで、ワクワクしている今日この頃です。
(次回に続きます)